カテゴリ:映画( 6 )

『わたしを離さないで』から揺れる気持ちまで

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 カズオ イシグロの映画『わたしを離さないで』。「10代初の臓器移植」のニュースが流れている頃に観ました。ストーリーは、なんともせつないのに、涙は出ず…。不思議な感覚に陥りました。好きな感覚。

 その頃に『ミツバチの羽音と地球の回転』も。鎌仲監督が劣化ウランの問題を知ったことで、原子力発電関連の映画に取り組んできたという話を伺ったことが印象に残っています。
 
 NHKのETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図 ~福島原発事故から2か月~」。この番組は日本中の人が見る機会を持ったのでしょう。また見る機会がありそう。

 b0002916_23195587.jpg義父は晩年、絵を描く事に集中していました。そして、昔は出版社をやっていたことも…。でも、詳しい事は何も伺うことはなかったのですが(夫の家族もあまりその事を知らないのですが)その片鱗に触れるチャンスがあったこと。

 b0002916_2325135.jpg『いのちと放射能』(柳澤桂子著)の読書会で、DNAの話などわからない事もありながらも、みんなで「こういう事では?」と話をしていくと、少しずつながら、だんだん理解できるようになってきたこと。

 新宿を通過する機会が増えたので、ジュンク堂やベルクなどに立ち寄るのが楽しみ。

 そして、6月からは仕事がひとつ増え、どうやって時間のやりくりができるのか不安もある中、以前からちょっと勉強をしてみようと思っていた消費者問題の勉強もやってみることにしました。
 どれも少しずつなんですが、急激に生活のペースが変わります。楽しみでもあるし、仕事と家事とおまけの勉強まで両立可能?と心配もあり…。今はちょうど移行期で、ちょこちょこ準備に出かけてウォーミングアップ。

 311から、春らしい気持ちはうっすらしか味わえず、怯えながら初夏を迎えました。おいしい野菜を口にしているのに汚染の心配をしたり、雨音にのんびりお風呂につかっていても、「あぁ、この雨は汚染されているのか…」と恵みの雨だったはずが、急に鬱々とした気持ちになったりしています。

 息子に「放射能の件なんだけど…」と食ベ物の事やら、諸注意の確認をする時、どうしても涙が溢れるので、先に一泣きしてから話すようにしています。親として、先人として、情けない気持ちになってしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいになるのです。
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by artemis-journal | 2011-05-26 23:30 | 映画

 映画 瞳の奥の秘密

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 『瞳の奥の秘密』
 これほど心に浸みた映画は久方ぶり。1974年の事件を始まりに2000年頃までを描いたアルゼンチン映画(スペイン語)。サスペンスとロマンと言う謳い文句があったら、普段は気が進まないのですが、この映画はまさにサスペンスとロマン。そして、この映画にはまってしまいました。

 サスペンス:南米での殺人事件のカギをこじ開けるのは写真に写っているゴメスの「視線」から。たったそれだけで犯人に違いないと読む刑事裁判所職員エポスシト。その上司の女性のイレーネもゴメス本人の眼差しから、犯人に間違いないと確信を持つ。逮捕後、殺人犯でありながらも釈放されてしまう当時のアルゼンチン社会の矛盾や、世界初の女性大統領が誕生した時代の事情を知ると、映画への共感が増してきます。

 事件の鍵である眼差し、それだけでなく、すべての登場人物の「瞳」が語りかけています。

 ロマン:エポスシトとイレーネの仕事を通してお互いの心が重なりながら、そうはいってもいろいろ事情もあり…。25年経った後もその想いは消えることはない。男と女の学歴格差…。

 退職後のエポスシトが25年前の未解決の殺人事件とイレーネへの思いを、小説にしようと取り組む。その小説の結末が、現実として納めるべきところに納まっていく。エポスシトの言葉「過去じゃない、今も続いている」。

 落ち着いたピアノ曲が流れ続け、この色合いがまさに大人のロマンの色。人の生活、心のありよう、権力社会での身の置き所など、全体を把握できるように描かれていることで、凶悪な事件なのに重苦しさを持たずにいられる。観る者が客観視できるように仕立てられているのだろうか、それとも監督の人格のなせる技。

 サスペンスは単なる殺人事件に終わらぬ結末で、心理学的な目で見た場合に、こういうストーリーが“本当”なのかもしれない、と思えてきます。

 おりしも、裁判員裁判の「求刑・死刑」というニュースが話題になった日。映画の結末から、きっと「死刑」以上の刑が存在するに違いない、と思ったのでした。
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by artemis-journal | 2010-10-26 17:46 | 映画

最近の映画から

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 吉祥寺からの帰りのバスに揺られ、あと2つ目の停留所で降車なのに眠気に襲われ…。現実味は薄れ、夢のストーリーが始まり…ハッ!「乗り越した!」と現実に戻ったのはたぶん1分ほど。でも、感覚的にはずいぶん経っていたような…。ということを2,3回繰り返したある日。
 これはレオナルド・ディカプリオと渡辺謙の『インセプション』の世界。夢の中の私…の夢の中の私の…夢の…、と続くこのストーリーに、今の私は現実なのか夢なのか、真剣になればなるほど困惑。
 ただひとつ言えることは、夢の中でも生きるために命がけだということ。そこで“失敗”すると、現実界では魂が抜けてしまう、ということのよう。たぶんこれは真実。

 今日は『キャタピラー』を観ました。第二次世界大戦日本。夫の出征時にたんたんと見送る妻役、寺島しのぶ。その表情の意味が最後で腑に落ちます。戦争とはそんなもんだろう、と妙に納得してしまうR-15指定映画。キャタピラーって言うので戦車だとばかり思っていたら、そう、芋虫=手足がない肉体、の意味だったのね。手足を失った帰還兵の軍神様に、私の嫌悪感が湧き起こります。

 『クレイジー・ハート』は、ちょっとだけ辛かったラブストーリー。でも、こういうストーリーが一番いいのですよ。60男の心が伝わってきて…。人間ってダメになるきっかけがあるし、立ち直るきっかけがあるんですよね。ボロボロな落ちぶれ男の魅力に惹かれる私って、だめんず・うぉ〜か〜かも。
 この映画、英語がまったく聞き取れず、カントリーシンガーの主演の歌詞、日本語字幕付けてくれないから、なんだか肝心な所、見落としているんじゃないかな、と。字幕はさぼらずきっちりしてほしいな。

 あと観たい映画は『セルフィーヌの庭』。横尾忠則氏の『セルフィーヌ』への朝日新聞の書評を読んで、これは見なければ!と。

 ちょっと前の『春との旅』は、今ひとつ私の心には残らず、『小さな命が呼ぶとき』はアメリカらしさに溢れ過ぎていて、良いお話ではあるものの…。

 沢木耕太郎氏の朝日新聞の映画評「銀の街から」はいぶし銀の感じ、本当にいいですね。
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by artemis-journal | 2010-08-23 01:15 | 映画

カティンの森

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 「鉄の塊を渡されて、よろけてしまった」というのが映画を観終わった後の感想です。実際、帰りは歩く時、ふらついてしまいました。

 80歳を超えたポーランドのアンジェイ・ワイダ監督。
 『カティンの森』
 カティン事件とは、ソ連とドイツに侵攻されたポーランド将校の、大虐殺事件がだそうです。世界史を学んでいない私は、この年にして初めて知った史実。

 共産主義ソ連とナチスドイツとくれば残忍さの極みです。
 
 「両親に捧ぐ」と始まるこの映画。
 ワイダ監督の父がこの時のポーランド将校だったことがわかりました。4000人以上の虐殺されたポーランド将校の一人。

 2007年(監督81歳)に完成したこの映画、主人公の女性は母がモチーフになっているのかもしれません。
 「真実を!」という子の強い信念があってこそ生まれた作品です。

 映画の中での女性たちの言葉が心に残っています。

  「殺害者より被害者に寄り添っていたい」

  「違う思い(ソ連側・ドイツ側)でもやることは同じ(殺害)ね。」
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by artemis-journal | 2009-12-15 00:41 | 映画

やはり『プール』は……

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  地元のバウスシアターの映画はそれなりのセレクション。今、『かもめ食堂』や『めがね』の小林聡美さん、もたいまさこさん、加瀬亮さんという味のある俳優さんたちの映画『プール』が上映されています。
 『かもめ食堂』と『めがね』の監督は荻上 直子さん。描写も美しかったし、間の取り方、それに何より“面白味”がありました。また、料理の扱いが見事でした。(料理=ココロですからね!)私には、適度な緊張とリラックスを味わえる両作品が好きでした。
 ですから、「第三段!」なんてわくわくして先走った思いが先行。(一抹の不安を感じてはいたのですが……。)
 両作の監督とは違う女性の監督であることは事前に知ってはいたのです。俳優さんたちがどう変わるのかな?と、ちょっと楽しみな感じも持っていたのです。うかつでした。
 三番煎じのような映画。映像に玄人の個性や美しさは感じられず、面白味もなし。ストーリにいたっては、つまらん、のひとこと。いやぁ、原作は大事です。加えて、良い素材(俳優)であっただろうに、料理(作品)への思いがうすっぺらというか、デリを買ってきて盛り付けたような手抜きで、ちゃちなお味の映画。
 『かもめ食堂』は原作 群ようこ、脚本・監督 荻上直子。
 『プール』は原作 桜沢エリカ 脚本・監督 大森美香。
 製作プロダクションはパラダイスカフェで一緒。

 テレビドラマなら、「つまんなかったね」と忘れるのですが、映画だと、“わざわざ”感があり、今回にいたっては、「予告篇やらにだまされた~」という感はいなめません。
 『アマルフィ 女神の報酬』もそれほど面白くはなかったけれど、でも、イタリアの美しさや映画のダイナミックさもありNGにはならず。

 いろいろ勉強になりました。『めがね』と『プール』の企画にある女性の名。ふーむ、この女性、たぶん……、なんて、勝手に想像をふくらませています。
 お口直しに一言。『ポー川のひかり』、さすが岩波ホール!でした。
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by artemis-journal | 2009-10-19 00:00 | 映画

扉をたたく人

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 急に映画を観たくなって、「扉をたたく人」を選びました。
 先日の朝日新聞で沢木耕太郎氏の書評を読んでいて、気になっていたし……。
 アムネスティの「人権パスポート」を持って行けば、200円の割引だったのに! 忘れてしまいました。
 
 現代の人種差別の辛さに、映画の途中で、私は一瞬観るに耐えられるかな…と思ったのですが、愛に支えられたストーリーで、温かい気持ちで終わることができました。
 ★4つの映画。(★1つ分は、ハッピーエンドじゃなかったから。)
 人々が抱えている苦悩があるからこそ、優しくもなれ、冷たくもなるのでしょう。
 閉ざしていた心を開く相手がいると、人は本当に優しくなっていく……。
 親子の愛、恋人同士の愛、友情。
 社会のシステムが愛を受け入れるものだったら……、という夢物語を願いました。
 移民や難民のことは、ヨーロッパやアメリカは当たり前だけれど、日本にいると疎くなってしまいます。

 アメリカに住んでいた時期、イラク戦争が始まった時でしたが、中東の人が突然“消えて”しまいました。テロリストとして“拉致”されたのでは? というもっぱらの噂でした。この映画も似たような警察の話です。
 白人社会の中では、私たち日本人も差別を受ける側にも。
 帰国後、よく尋ねられたのは、アメリカ生まれの息子の国籍。「アメリカの国籍?」と聞かれるのです。「親子が別々の国籍なんてありえない!」と答えていました。
 人種差別だったり、国家間の関係だったり、「社会システム」としての話は、人間同士の愛情など無関係に扱われてしまうものです。
 
 「自由の国アメリカ」つまりは白人都合の社会に、シリア人、セネガル人が登場し、日常にありがちなストーリーだったのだと思います。非白人は人として扱われないことがある、それが当たり前。ということを見せつけられた気もしました。

 観客たった10数人でした。
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by artemis-journal | 2009-07-10 00:30 | 映画