ピアノ三昧の夜

 ふだん井の頭公園まわりしか出かけない私が、このところ仕事もプライベートもよく都心へ出かけています。
 先週は谷川賢作(p)さんがプロデュースした、東京・銀座のお宿・吉水の地下のかくえホールの、『Aqua De Beber vol.3 ピアノ三昧 vol.1』と題されたコンサートに出かけました。
 吉水は3年前に京都にあるお宿で『女神のこころ』の講演会のイベントをさせて頂いたこともあり、銀座にも「吉水」ができて一度はお訪ねしたい、と思っていたら今回の企画に巡り合いました。終演後には、女将のこだわりの有機野菜の食事を出して頂き、心もお腹も満腹。
 さて、コンサートのこと。5人の個性豊かなピアニストの20分ずつの演奏はソロのみ。「厳選なアミダ」により当日の演奏の順番が決まったという一人目は若きスリムなモノトーン青年の田中信正さん。
 ピアノに対しての「力の抜き方」が不思議な青年。洗練された演奏はキース・ジャレットを思い出させてくれました。現代の若者の生き方って、軽やかなんだな、ということが演奏を通しても感じられるほど。もちろん、いろんな人がいるので、彼の世代がみんな「軽やか」であるはずがないのですが、彼は繊細さがあまり傷つかないままおとなに突入した、というより傷つくのを恐れているのかも‥‥。なんて彼を何も知らない私が勝手に言うのもヘンですが。
 私だったら、もっと単純に正面切ってピアノにぶつかるだろうなって感じたわけです。
 そして、圧巻は黒田京子さん。「出だしは考えてきたけれど、あとは考えてません」とスタート。即興演奏に長けたジャズピアニストとして、舞台の音楽監督として、はたまたサイレント映画の音楽担当etc.。ジャンルにこだわらず、自分の音楽を追求している彼女の演奏は、ピアノという楽器を相手に、「私」というものを探っているそのままを私たちに見せてくれたように思っています。。
 ホールは足元に人が座るという、観客と演奏家に距離がない小さなサロン。演奏の順番も考えられたものではないので、その場の雰囲気に、演奏家も聴衆もビンビンと交感しあいます。
 黒田さんの演奏は、言葉をはさみ、立って弾く、バッグから取り出した紙をピアノの弦に乗せ響きを抑える、といったいろんな表現方法が現れ、心にずーんと響きました。(読んで理解してはもらえぬのはもどかしいのですが、ご勘弁)
 20分の演奏の後の拍手に観客の感動が伝わります。
 しかし、私には「どうなるのだろう‥‥」という不安がよぎった瞬間も。それは彼女の演奏が「軽やか」でなかったせいなのです。単に「心地良い音楽」とは異質。「ま、プロなんだからちゃんと最後は納めてくれるよね」という事は頭ではわかっていたのですが、実に良い加減のところまで持って来てくれて、本当にすばらしい!と感動。うーん、さすが。
 そんなわけだから、後の人の演奏は私の記憶には、テレビの映像のように残っているだけだったのでした。
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by artemis-journal | 2004-10-04 23:42
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