湯浅誠さんのTV番組(NHKスペシャル)を見て

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 滞在先のホテルでテレビをつけると、湯浅誠さんが内閣府参与に就任してからの100日間の奮闘の様子を追ったドキュメンタリー番組『権力の懐に飛び込んだ男100日の記録』が始まり、見入ってしまいました。

 印象に残っているのは、「国にはもっと力があるかと思った」という彼の言葉。

 行政の縦割りによる、「厚生省の管轄、文部省の管轄」という陳腐なやりとり。
 湯浅さんはどんな相手に対しても、ていねいに説明し頼む姿。人柄なのでしょうか、それとも苦労のたまもの?

 今の社会、派遣切りで職を失い、住まいを奪われた人を社会で支えるシステムがありません。
 「結局は当事者の立場に立てないのだ」と口にした彼の言葉は、今の日本社会の冷酷さ(自己責任のおかげ?)のキーワードではないでしょうか。
 国も省庁ごとで管轄があり、自治体も部署ごとの守備範囲が限られ、「ポスター掲示など、できることはやっています。」と応える都の職員にやる気は感じられず……。「今の仕事だけで忙しいのに、余分なこと持ってこられても……」っていう感じの職員。「できません」という態度があからさま。気概など皆無ですよね。それに、プロの相談窓口の職員に対し、湯浅さんが指南する姿に、「それがあなた方の仕事だったんでしょう?今まであなた方は何をやってきたんだろう……」と思わずにはいられませんでした。

 ここ数年の失職状況は、不況とは別の次元で社会の“異常事態”。大卒が職につけず、高卒の就職率が53%そこそこの実態を「今やあたりまえ」ってのは怖いこと。

 湯浅さんは年末年始の仕事を得られない人たちの「年越し派遣村」をまとめ、社会システムをなんとかならないか、と一時しのぎでない社会のあり方を提示しながらも、細切れに分断された行政の組織体制のため、思うようには運ばず、番組を見ていてずいぶんと歯がゆさを感じました。

 このドキュメンタリー番組の“舞台”となった代々木のオリンピックセンター。700名以上の人たちが集まったそうです。「でも、あまりたくさん集まられても……」と年越し派遣村について公表を渋る役人。
 オリンピックセンターの全体の館内放送をすることすら、「非常時用だから使えない」と断られている場面。その「許可」を取り付けながら、ひとつひとつ投げ出さずに交渉する湯浅さん。
 「そういう事務的な事を、他に誰もやる人いないの?」 彼のために一緒に動く心ある役人はいなかったのだろうか? 
 鳩山政権の目の付けどころは良いのだけれど、従来型の行政がそれについて行っていないのがよくわかります。この社会の生き難さは、政治の問題だけではないと思える、行政のシステムです。
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 そのオリンピックセンターで3月初旬に「布ナプキン協会」の立ち上げ合宿を行い、その時、受付の裏のコーナーに、年越し派遣村から3カ月たって、未だ消されることなくホワイトボードの書きこみがありました。

 湯浅さんの仕事ぶりは誰も頭があがらなかったはず。でも、それを支援し、一緒に盛りたてようとした首長も少なかった事実。加えて、国民の意識がそこには向いていなかった、ということもわかりました。

 昨年春だったか、私も湯浅氏のお話を伺う機会があり、「この状況なんとかならんものか」と思い続けていました。社会的企業として13年間、私なりに「アルテミス」という場で頑張ってきたつもりですが、“不適正価格”にまみれた安売商品が喜ばれる社会の中で、「紛れずに輝きを見つけてもらえるのだろうか?」 と考えてしまうこともままあります。
 
 今、夕刊を見て、小泉政権で壊された法律、労働者派遣法がやっと改訂される、と載っていました。少しは良き方向に進みます様に。
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by artemis-journal | 2010-03-17 19:07 | 社会
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